2025年9月24日、横浜市中区の「さくらWORKS<関内>」のフリーラウンジにて、第3回「クリエイティ場」が開催されました。
「クリエイティ場」とは「AI」「Web3」「メタバース」という3つの最新テクノロジーキーワードをベースに、毎回ゆるくテーマを定め、AIとおしゃべりしながらアイデアを広げていくイベントです。
今回は国内最大級のWeb3・AI・ブロックチェーンイベント「WebX2025」のレポートを中心とした、最新のトレンド、ステーブルコイン時代の到来、将来の自分のお金の見直しなどが語られました。
石破首相も登壇!WebX2025で見えたWeb3のいま

最初のトピックとして、山口理事長が「WebX2025」に参加した様子を、フォトレポートのような形式で紹介しました。
「WebX2025」とは、2025年8月25日・26日にザ・プリンスパークタワー東京で開催された、日本最大級のWeb3国際カンファレンスです。
暗号資産・ブロックチェーン・DeFi・AI連携など、世界中の最先端テーマが取り上げられ、政府関係者、金融機関、スタートアップ、投資家らが一堂に会し、政策・技術・ビジネスの最前線について議論が行われました。
はじめに、どのようなスポンサーや企業が出展していたかが紹介されましたが、まだまだ日本のメディアや企業の参入が少なく、一般層にとっては、まだWeb3への関心が十分に高まっていないのかもしれません。

続いて、登壇したスピーカーの紹介がありました。
まず、暗号資産投資界で大きな影響力を持つアーサー・ヘイズ氏が登壇。ステーブルコインが法的に通貨として認められたことを契機に、暗号資産の価格が上昇した点や、今後注目すべきキーワードとしてDeFi(分散型金融)を挙げました。
DeFiは暗号資産同士の取引を行う仕組みですが、法的保護がまだ整っていない領域のため、一定のリスクもあるとのことです。
昨年は岸田元首相がビデオメッセージを寄せましたが、今年は石破首相が実際に登壇し、大きな話題を呼びました。
日本がWeb3分野に注力していることを、国際的に発信する狙いが感じられます。
また、著名な出演者として堀江貴文氏がSBI Holdingsの北尾吉孝会長と対談したほか、公式には非掲載のサプライズとして、CM出演をきっかけに村●信●さんが“お忍び”で登場したことも紹介されました。
芸能人やインフルエンサーの影響力によって、多くの人々がWeb3に関心を持つきっかけになることが期待されます。
全体として、Web3関連の議論は「お金」や「資産」に焦点が移りつつあり、以前注目されていたDAOやNFTに関する話題はやや少なくなってきている印象だったとのことです。
イーサリアム〜ETHの行末

WebX2025 現地の様子
Ethereum Foundation Presidentである、宮口 あや氏は、ブロックチェーンが「国でも企業でもない、誰もが参加できるオープンなシステム」として社会インフラ化している現状を紹介しました。インターネットがオープンスタンダードによって発展したように、ブロックチェーンも分散化とパーミッションレスな仕組みこそが価値の源泉であり、銀行や行政サービス、ID管理など、既存の枠組みを超えて人々が公平に利用できる基盤になると語りました。
また、優秀なエンジニアたちが金銭目的ではなく理想のアーキテクチャを追求していることが、この技術の信頼性と持続性を支えていると強調。技術的には「シンプルさ」が最も多くの開発者を惹きつける要素であり、オープンなエコシステムこそがイノベーションを促すと述べました。
米国では政府や金融機関がパブリックチェーン活用に舵を切る中、日本は企業が事業を縮小する動きも見られる。しかし今こそ「本格的にインプロイ(導入)するタイミング」であり、専用線より暗号化したパブリックネットの方が安価で安定しているという事例を紹介し、オープンネットワークの有効性を訴えました。
さらに、マイナンバーのような中央集権的ID管理にはリスクがあり、個人が自分のデータを管理できる分散型IDの構築が不可欠だと警鐘を鳴らした。ブロックチェーンは攻撃耐性が高く、IDや情報を消せない設計により、国家規模のサイバー攻撃にも強い。ブータンが国全体でブロックチェーンを基盤としたIDやビットコイン政策を進めている例を挙げ、日本も技術的・文化的に変革する必要性を強調しました。
世界第2位の価値を持つ、イーサリアムのプレジデントが日本人女性あることに感銘を受けました。今後Bitcoin以外は、使われてなんぼのネットワークインフラになっていくでしょう。
時代はステーブルコイン

前回の「クリエイティ場.02」でも注目であると取り上げられたステーブルコインですが、時代はステーブルコインになったと言っても過言ではないと理事長から語られました。
ステーブルコインは価格が法定通貨と連動しているため、暗号資産の中でも価値変動が小さく、国境を越えて利用可能であり、改ざん耐性や追跡性があるため信頼性も高いという特徴があります。また電子マネーと比べて手数料による負担が小さいという点もあることが導入するメリットであり、外国人観光客の日本での支払いや、小規模店舗の決済手数料の削減に有利だそうです。
日本国内では日本円連動の「JPYC」があることが紹介され、「1JPYC=1円」であり、今はまだ利用可能範囲は狭いですが、将来的に、「JPYCで」と言って決済するのが当たり前になるかもしれない世界観が語られました。
CBDC(中央銀行デジタル通貨)の現状
もうひとつ覚えてほしいものとしてCBDC(中央銀行デジタル通貨)が挙げられました。
中国ではすでに「デジタル人民元」で先行していて、資産の場所が可視化されるので、マネーロンダリングや脱税の抑止になることや、確定申告などが自動でできるなどメリットがあるとされます。
しかしプライバシーなどの問題があるため、アメリカでは「デジタルドル」には反対し、ステーブルコインの方を推奨しているそうです。
日本はアメリカの影響を受けやすい環境であることもあり、JPYCの方が先に普及する可能性がありますが、「デジタル円」の普及が実現すると、キャッシュレス化というのが本当の意味で徹底されることになるとのことです。
注目のDATと、STO

今注目されているビジネスモデルとして、メタプラネット社では株式を発行して資金調達し、その資金でビットコインを購入するDAT(Digital Asset Treasury)のモデルを採用していることが紹介されました。
投資家はビットコインそのものに投資するよりも株式に投資する方が安全であると感じ、税の面でも有利であることから、このモデルが流行しているそうです。
そのほかには、STO(Security Token Offering)と言われる、不動産をブロックチェーン上のセキュリティトークンに載せて所有権を分割し、投資しやすくする手法が投資家の間で注目されているという話も出ました。
オープンハウスグループは日本の不動産をワールドワイドにSTOとして展開予定です。また、NOT A HOTELは、高級リゾートホテルの宿泊権をトークン化し、グローバルに富裕層向けのビジネスとして展開しているとのことでした。
将来の資産運用を考える
暗号資産が、デジタル資産の筆頭と考えられるようになるにつて、最後に自分のお金(資産)も見直そうというテーマで、適切な資産の配分について議論が行われました。
政府が発行する法定通貨も価値が上下することも鑑み、今後の情勢や自分の状況に応じた、適切な資産運用を考えてつつも最新のテクノロジーに触れるきっかけの場にもなったのではないかと思います。
「クリエイティ場」は主に横浜関内近辺で開催予定です。ご興味を持たれた方は今後のイベント情報をお待ちの上で、ぜひご参加ください。