昨年に引き続き、まちづくりエージェント SIDE BEACH CITY.では、2023年9月から11月まで、横浜市立緑園義務教育学校にて、中等部向けプログラミングの授業を行ないました。
対象となったのは今回も、緑園学園中等部の生徒の皆さんのうち、この授業を希望した全30人の方々。
理事高見が中心となって担当教諭と共に授業を進めました。
表現未来デザイン科
この授業は表現未来デザイン科と言われる、緑園学園独自のプログラムによって行われたもの。
普段行われている授業だけでなく、様々な知識技術を身につけようと行われている取り組みで、地域で活動する人々を招き、いつもとは違う技術について学ぶという授業になっています。
このプログラミングの授業以外には、舞踊や色鉛筆アートなどの様々な授業が行われており、その中の一つとしてこのプログラミングの授業がありました。
授業の内容
今回の授業は、昨年と同じくプログラミングとはそもそもどういうものなのかから始まり、実際にプログラミングで作りたいものを作ってみるというところまでを体験するもの。
- 1日目にScratchを使ってプログラミングの基本的な考え方を知る
- 2日目にJavaScriptを使って、どういうようにプログラミングをするのかを知る
- 3日目~5日目で、JavaScriptを使って実際に作りたいものを作ってみる
このように三つの工程を経て、プログラミングとは何かというものを知ってもらうという体験でした。
2日目以降のJavaScript実習では、高見があらかじめ作った作例集を見て、その中から好きなものを改変して、どのような変化が起こるのかを体験するというものでした。
どのような作例があったのかについては、高見のCodePenアカウントで展開されておりますのでご確認ください。
授業環境
授業で用いた環境は、去年と同様、Scratchの公式サイトのものと、WebMakerというJavaScriptの実行環境。
どちらもインターネット上で、特別にアカウントを作らずとも使える環境ということで、いつも利用しています。
特にWebMakerは、インターネットブラウザー内に情報を保存することができるローカルストレージという機能に対応している環境で、この機能により、直接インターネットに接続していなかったり、インターネットアカウントが作成できない環境でも日を跨いでプログラミングによる試作検討を行うことが可能。ということで、昨年より使用しています。
それぞれのインターネットサービスを提供されているエンジニアの皆様には深く御礼を申し上げます。
生徒の皆さんの声
今回の講座では、授業終了後、生徒の皆さんのレポートをもらって、内容を確認することができました。
皆さんプログラミングの難しさというものを体験し、苦戦しつつも、その可能性や面白さを見出したという声は引き続き多く、今回も大変実りのある授業になったのではないかなと思います。
今回も何か作ってみたいという意気込みに溢れた方がとても多く、高見としても、授業をとおして様々な生徒さんの思いを体験することができ、とても良い体験となりました。
見えてきた課題
今回の授業をとおして感じたことは、普段生徒の皆さんはプログラミングに触れるという機会が少ないのではないかということ。
授業の感想を見ていると、今回の授業がプログラミングの初体験であったり、その後プログラミングを体験する機会というのがあまりなかったり。というような普段の授業のようすが垣間見えます。
事前に聞いた話だと、生徒の皆さんは、小学部でScratchやプログラミングゼミのような環境を使って、プログラミングに触れたことはあるとのこと。
ただ、それ以降のプログラミングとの関わりについては聞くことができませんでした。
今回、プログラミングの可能性を体験し、面白さに気づいたという生徒の皆さんが、今後成長するための手段が、まだまだ不足していると感じます。
学習塾の存在
確かにプログラミングを題材として扱う学習塾の存在はある、学びたいと強く思った人がプログラミングを学ぶための場所というのはあります。
ただそこまでしっかり学びたいというほどでもないという人が、プログラミングに触れる環境はあるのでしょうか?
SBCast.でプログラマのコミュニティの話しを聞いていると、今までになくプログラミングへの敷居が下がってきたと言われています。
ただ、その敷居の前にある道のりはまだまだ険しいものなのではないか?今回の授業を通して感じました。
学習に適したプログラミング環境の不足
また、現状のプログラミングの環境は、あまり学習に向いたものではありません。
数字の1とアルファベットのI。コロン(:)とセミコロン(;)、カンマ(,)とピリオド(.)の混同。
特にプログラミングの仕組みがしっかりと理解できていないうちは、板書を写すというような今までのような授業のやり方では、プログラミングの仕組みがわかっている人では起こらない、さまざまな障害に突き当たってしまう。
しかしながら、学習向けの環境であるScratchは、プログラムコードと対比して見ることができないし、実用性のあるプログラムを作成することもできない。
ある程度実用性があり、誤字によるトラブルを防ぐことができ、かつ文字ベースのプログラミングの学習にもつながる。
そのようなプログラミング環境が必要とされているのではないかと私高見は思いました。
今後に向けて大事にしていきたいこと
まちづくりエージェント SIDE BEACH CITY.では、今後もプログラミングとはどういうことか、全ての人がプログラミングを行動の選択肢に入れられるようにするために、どのような環境が必要なのかを考えていきたいと思っています。
そのためには、子どもだけがプログラミングを知っていればいいというものではありません。
子どもたちがプログラミングをする環境を整えるためにも、子どもたちがプログラミングの話ができる場を用意するためにも、そして、子どもが作ったプログラムを正当に評価するためにも。
大人もプログラミングというものを知る必要がある。
全年齢に向けたプログラミングの情報発信を行っていきたいと思っています。
この取り組みには、皆様のお力が必要です。
プログラマも、プログラマでない人も。
まちづくりエージェント SIDE BEACH CITY.にお力をお貸しいただけますと幸いです。