2024年 緑園学園でのプログラミング授業実施レポート

2024年-緑園学園でのプログラミング授業実施レポート アイキャッチ

2024年9月から11月にかけて、SIDE BEACH CITY.は 今回、3年目となる緑園学園でのプログラミングの授業を実施しました。

この取り組みは例年表現未来デザイン科というカリキュラムの一環として行われているもので、 緑園学園中等部(7,8,9年生)の生徒の皆さんが、地域の人々に普段触れる機会の少ない分野について教わるというものです。SIDE BEACH CITY.はここで、2022年度から3年間連続、プログラミングのコースを担当しています。

担当は理事高見。 今年は学校法人岩崎学園 情報科学専門学校より、小中学校でのプログラミング教育を支援するという活動サークル、EXPサークルがサポートとして参加。EXPサークルのみなさんと力を合わせて授業を進めていきました。

参加した生徒の皆さんは、中等部全学年の中から特にこのコースへの参加を希望した30名の方々。前年度までの表現未来デザイン科で受講した内容とは違うコースの選択を推奨されていたため、高学年になればなるほど参加者は少なくなっています。

授業は5日間にわたり、毎回5時間目と6時間目の2時間ずつ、合計10時間での授業。また、今年度からの新しい試みとして、緑園学園の全校生徒が参加する発表会も最終日に開催され、生徒の皆さんの学びを共有する機会となりました。

プログラミングの授業の内容と、サポートの体制

授業の内容としては例年通り、1日目にはScratchを使用し、プログラミングの基本的な考え方やロジックについて学習しました。

2日目以降は、 プログラミングの環境をJavaScriptに変更。

例題プログラムの作成から始まり、3日目以降には、あらかじめこちらでいくつか用意している様々なサンプルプログラムを参考に、生徒たち自身がアイディアを加え独自のプログラムを作成するという時間を設けました。

今回参加いただいたEXPサークルの皆さんには、生徒一人ひとりの疑問に答える形で授業を支援していただきました。

この体制により、今まで講師の高見一人だけではカバーしきれなかった、個別のフォローが可能となり、生徒の皆さんの理解も深まり、かつ様々な内容を伝えられる授業が可能となりました。

生徒の皆さんの目覚ましい成長

授業が始まった当初は、多くの生徒の方がプログラミングの複雑さに戸惑いを見せていました。

特に1日目2日目の授業終了後の感想には、「わからないことがたくさんあった」「うまくできなかった」「難しかった」などの声が多く、はじめて触れる技術や新しい概念を理解するということに対する戸惑いが垣間見えました。

しかしながら、3日目以降、状況は大きく変化していきました。

生徒の皆さんの感想には「仕組みがわかってきた」「やり方がわかってきた」という前向きな言葉がふえはじめ、着実に成長しているということを感じられるようになりました。

特に5日目の中間発表では、 既存のサンプルプログラムとは全く異なる独自のプログラムを制作する生徒も現れました。

授業中に紹介されたサンプルにとらわれることなく、授業内で教えていない内容も積極的に取り入れ、自分の発想を形にした作品もあり、創造性と技術力の成長が感じられる場面になりました。

そして全校での発表会。

プログラミングコースでは、クラスから選ばれた3名の代表者が、作った作品について1人1分半程度でプレゼンテーションを行いました。

自身はどのような動機でこのようなプログラムを選択したのかどのような独自の工夫を盛り込んだのか、どういうところが難しく、どのような面白さがあったのか。

全校生徒の皆さんから大きな拍手が送られ、プログラミング学習の成果が共有される貴重な機会となりました。

直面した課題と今後の展望

一方で今回の授業では、現代の教育環境が抱える課題も見えてきました。

特に大きな問題はテクノロジーの活用環境の問題です。

授業4日目には、例年授業で使用しているWebサービス、WebMakerのアクセスが一部遮断されてしまうというトラブルが発生し、しばらくの間授業が停止。またその日いっぱいは代替環境での作業を余儀なくされてしまいました。

学校の先生方も今回のトラブルについてはすぐに対策する方法を見つけ出せず、対応には数日を要したとのことです。学校側のシステムがプログラミング教育に追いついていないという現状を見せつけられるという事態となりました。

今回の授業では、例年通り生徒の皆さんの潜在能力と学習意欲の高さを感じることができた一方、その可能性を最大限に生かすために、まだ学校のインフラ環境・教員の皆様のスキル、様々な面での環境整備がまだ足りていないのではないかと感じました。

また、今回より新たに実施された全校生徒対象の発表会により、他のコースの成果も見ることができました。

多くのコースが動画をつかった成果発表を行っており、現在の中学生の可能性を強く感じました。

ただその一方、これらのツールを活用すること、そのための情報収集をすること、様々なシーンにおいて、親が、学校が、地域が、それらの活動を邪魔しないようにしなければいけないとも感じます。

子どもたちがより良い環境でテクノロジーを学べるようにするためには、学校側の体制強化だけでなく、地域全体での支援や協力が必要です。

子どもたちだけでなく、大人もプログラミングを始めとしたテクノロジーについて知り、またそのような物事に詳しい人たちとのつながりを作ることによって、子どもたちの可能性を広げることができるのではないでしょうか。

SIDE BEACH CITY.の今後に向けた活動

わたしたちまちづくりエージェント SIDE BEACH CITY.では、プログラミング教育への様々な形の支援を行っていきたいと考えています。

プログラミングはコンピューターの世界を知るための方法の一つ。実際に仕事や家庭環境でプログラミングを一切行わないとしても、コンピューターの仕組みを理解し、その背景を推し量るためには、プログラミングを学ぶというのは有効な方法であると考えています。

しかしながら、今回起こった問題のように、そのためにそれを学ぶためにプログラミングを学ぶために不足しているものもまだまだたくさんあります。

それらの知識を身に付けた子どもや大人が過ごしづらい環境もまだまだ少なくありません。

SIDE BEACH CITY.では今回の経験を生かし、講師に依存しない授業環境の構築や、より充実したプログラミングやテクノロジーの教育環境の構築に向けて、学校や地域とも連携をし、努力邁進していきたいと思います。