まちづくりエージェント SIDE BEACH CITY.では 2022年9月から11月まで合計5日間、横浜市立緑園義務教育学校にて中等部向けにプログラミングの授業を行ないました。
対象となったのは、緑園学園中等部生徒(7年生~9年生)のうち、プログラミング授業を希望した約20人の方々。講師として高見が中心になって担当教諭二人と共に授業を進めました。
授業の内容
今回の授業は、プログラミングはそもそもどういうものかから始まり、実際にプログラミングで作りたいものを作ってみるというところまで。
詳細な内容としては、子ども向けプログラミング環境Scratchを使ったプログラミングの流れを知る授業から、JavaScriptを使って実際に好きなプログラムを作成してみるところまでを行いました。
実際に作成したプログラムの作例については、それぞれのプログラミング環境をオンラインで体験できるサイトにて公開しておりますのでご確認ください。
- 2022年9月~11月プログラミング講座 – Scratch Studio
- 2022-programming_ws_contents – a Collection by 高見知英 on CodePen
授業の流れ
当日の授業は5日間にわたって行われ、1日目にはScratchを使ってFizzbuzzというプログラムを作り、そこからプログラミングに重要な順次判断繰り返しといった要素を学びました。
そして、 2日目にはJavaScriptとはどういうものか。 3日目と4日目に実際にJavaScriptを使ってプログラムを作成してみようという試みを行ない、 5日目に発表会を行ないました。
3日目以降に作成したプログラムについては、あらかじめ高見が作成したプログラムをコピーして自分なりのアレンジを加えたものを中心に作成。
しかしながら、皆さん思い思いのアレンジを加えている方も、それらの要素を元に完全に独自のプログラムを作成している方などもいらっしゃいました。
たった5日間の授業ではありましたが、皆さんさまざまな技術を習得し成長できた授業となったと思います。
授業環境
今回の授業で使用したのはScratchとJavaScript。Scratchでは、公式サイトで提供されている環境を用いて授業を行いました。
JavaScriptでは WebMakerという環境を使用。
こちらはインターネット上でJavaScriptそのものや、 JavaScriptが動作する画面を形作るHTMLやCSSなどの編集が行え、その内容が即時に画面に表示されるという環境。
インターネットアカウントを使用してオンラインにデータを保存することもできるほか、インターネットブラウザ内に情報を保存することができる、ローカルストレージという機能にも対応しているのが特徴です。
この機能により、直接インターネットに接続していなかったり、インターネットアカウントが作成できない環境でも、日をまたいだプログラミングによる試作検討を行うことが可能。今回のプログラミング授業には非常に有効な環境でした。
それぞれのインターネットサービスを提供されているエンジニアの皆様には深く御礼を申し上げます。
生徒のみなさまの声
生徒のみなさんの声を聞いたところ非常に好印象で、プログラミングの難しさを体感しつつも、可能性やその面白さを見出したという声が多く、授業を担当した高見からしても非常に実りのある授業になったと思います。
とは言っても、一からプログラミングをするのはとても難しい。
学校の授業ではあまりない、ほかの作品を参考にし、あるいはコピーして、そこから自分なりのオリジナリティを注入していくというプログラミングのやり方にも、皆様非常にすんなりと対応していて、生徒の皆さんの柔軟性の強さを感じました。
見えてきた課題・今後に向けて
今回を通して感じた課題としては、今回の生徒の皆さんを含め地域の人たちがプログラマに出会う機会が非常に少ないということ。
プログラミングってこんな難しさがあったんだ、プログラミングってこんなところがおもしろかったんだ、ただ、ちょっとプログラミングを見れば分かったかもしれない。
そのようなことが感想に綴られているのが、非常に印象に残りました。
面倒くさがる気持ち
プログラミングを行う上で必要になるのは面倒くさがる気持ち。
この処理を複数書くの面倒くさいなとか、この複数の処理は共通化できそうだとか。
そのような気持ちが、プログラマを成長させ、あるいは成果物自体の品質を向上させる。
しかしながらそのような気持ちは、授業で身につけられるものではない。むしろ学校で行う授業とは相反する考え方となってしまうため、授業では取り扱いにくい。
だからこそ、授業としてではなく、学校とは何も関係のない場所でプログラマと関わることが重要ではないか。
プログラマとの接点
しかしプログラマと地域の人々の関わる機会は極端に少ない。
コロナ禍の今、地域コミュニティの人たちもプログラマの人たちも、オンラインで様々なイベントを開催してはいるものの、お互いが開催している場所や告知のサイトが異なるせいもあり、結果コミュニティが交わらない。
親がプログラマであれば、在宅勤務などで目にする機会があるかもしれない。
趣味としてプログラミングを行う親がいれば、その親の姿を見られるかもしれない。
しかし逆に、親がプログラミングを行う人でなければ、子どもも周りの人もプログラミングに触れる機会がまったくない。その課題をあらためて感じました。
プログラマの文化地域の文化
プログラマと地域の人たちの考え方の違い、文化の違い。
その溝を少しでも埋めていくためには、地域の人たちとプログラマが共にいる場が必要。
そのような環境を作り、お互いがお互いの考え方を知る、お互いがお互いのやり方を知る。
それによりそれぞれの活動が新しいステージに進む。
そのための場が必要であるということを、あらためて感じます。
大事にしていきたいこと
まちづくりエージェント SIDE BEACH CITY.では今後も、プログラミングとはどういうものか、全ての人がプログラミングを行動の選択肢に入れられるようにするために、どのような環境が必要なのか。考えていきたいと思っています。
プログラミングは、子どもだけが知っていればいいというものではない。
子どもたちがプログラミングをする環境を整えるためにも、子どもが作ったプログラムを正当に評価するためにも。
大人もプログラミングというものを知る必要がある。
全年齢に向けた、プログラミングの情報発信を行っていきたいと思っています。
この取り組みには、皆様のお力が必要です。
プログラマも、プログラマでない人も。
まちづくりエージェント SIDE BEACH CITY.にお力をお貸しいただけますと幸いです。