オンラインイベントを支えるWebサービス

現在オンラインイベントには、おおくのものがあります。

大まかには二つの種類があり

  • ウェビナー:オンラインセミナー(Web+セミナー)。基本的に参加者は聞くだけ。テキストによるコメント投稿は可能
  • ハンズオン・ワークショップ:参加者が手を動かしたり、会話したりするもの。

それぞれいくつかのオンラインツールを使用したり、組み合わせて利用している場合があります。

ここでいくつかのオンラインツールを紹介します。

通信による遅延の問題

オンラインのイベントでは、インターネットを介したイベントであるという都合上、自分の音声や映像が他者のところに届くまでの間に若干の時間差があります。

これは、一般的には遅延と呼ばれています。一般的にワークショップなど、参加者間の距離を縮める必要があるイベントでは遅延は短くする必要があります。

逆にウェビナーなど一方向の情報発信が主な場合は、遅延は多少大きめでも問題はないと言えるでしょう。

どのようなかたちにせよ、インターネットを介したイベントである以上、若干の遅延は発生します。どんな人に見て欲しいのか、どのくらいの遅延が許容できるかによって、使うツールを選ぶと良いでしょう。

ウェビナー

ウェビナーは、基本的に参加者を一つの部屋に集めて行うものと、YouTubeやFacebookライブイベントなどのオンライン配信環境で誰でも自由に見られるものの2種類があります。

一つの部屋に参加者を集めるもの

たとえばZoomウェビナーやTeamsライブイベントなどが、これにあたります。

参加者はZoomやTeamsの視聴アプリケーションをパソコンやスマートフォンにインストールし、参加します(パソコンで見る場合は、主催者が許可した場合に限り、インターネットブラウザで直接動画を見ることも可能です)。

これらは比較的遅延が少なく、参加者と閲覧者の距離が近い環境が実現できます。また、それぞれにテキストにより視聴者から参加者に感想や質問を送付する機能もあるため、比較的実際のセミナーに近い環境でイベントが開催できます。

YouTubeやFacebookライブイベントに配信するもの

最近では、YouTubeやFacebookなどのライブイベントとして、ウェビナー映像を配信する形式のイベントも増えています。

これらであればパソコンはもちろん、スマートフォンでも別途特別なアプリをインストールせずに動画を見たり、コメントを投稿できるのが特徴です。

また、これら環境に配信する方法には、OBSというパソコンソフトやStreamYardというインターネットサービスを使うなど、様々な手法があります。

とくにStreamYardを使えば、比較的パソコンやスマートフォンの性能が良くない場合でも容易に配信が行える上、参加者のパソコンやスマートフォンが強制終了した場合でも配信を続けられるため、安定した環境で配信が行えるのが特徴です。

ただし、遅延はそれぞれのライブ配信環境に依存するため、どのようなツールを使って配信した場合も、10~30秒程度の遅延が発生します。

その他の配信環境

また最近では、clusterなどのバーチャル空間を使ってウェビナーを開催する例もあります。

この場合は会場の雰囲気を参加者間で共有できるため、より臨場感のあるイベントを開くことが可能です。

ただし、VR空間で移動するために、参加者にも若干のスキルを必要としますので、すべてのイベントでこれが使えるとは限りません。

ハンズオン・ワークショップ

また、その他には、ハンズオンやワークショップなど、実際に参加者にも手を動かしてもらう形式のイベントもあります。

直接対面で話せるわけではないものの、例えば参加者になんらかのワークシートに記入してもらったり、絵を描いてもらうワークショップを行うことで、一体感を創り出すことはできます。

そのほかにも、Zoomのブレイクアウトルーム機能などを使って2人の部屋を作って自己紹介をしあうなど、実際にオフラインのイベントでも開催されていた様々なアイスブレイクの手法を利用することができます。

これらのツールには、非常に多くのものがあります。専用のソフトが必要なものや、特にソフトが必要ではないもの、ビデオを使うもの、使わないもの、沢山のツールがあります。

ビデオ通話によるワークショップ

ZoomミーティングやGoogle Meet、Teams会議やSkypeなどのツールを使って、主にビデオをオンにして話し合うもの。

ZoomミーティングやTeams会議では、専用のソフトをパソコンにインストールして使います(主催者が許可している場合、インターネットブラウザからの参加も可能です)。

それ以外のツールでは、パソコンからはブラウザだけでの参加ができるのが特徴。ただし、スマートフォンの場合は、いずれの場合も対応アプリのインストールが必須となります。

また、これらをウェビナーで使うことによって、登壇者と参加者が話し合うイベントを作るという手法もあります。

音声のみを使った対話手法

また、音声を使った会話の方法もあります。たとえばゲーム向けのチャットサービスDiscordを使うなど、音声でのやりとりを基本とした環境も存在します。

もちろんZoomなどでもあらかじめ参加者で取り決めればそのようなことは可能ですが、ツール自体の主な用途がビデオをオンにして話し合うものであり、そのように利用されることも多いというツールの性質上、どうしても「ビデオをオンにしなければいけない」という先入観を持ってしまう方も多く、身支度に時間がかかる方や、家庭環境を映したくない方などを中心に、参加を躊躇される方もいらっしゃいます。

また、音声を中心とすることで、通信の遅延を最低限に抑えることができるということや、データ通信量も大幅に抑えることができるという利点もあります。

場合によっては音声のみを前提としたイベントを作ったほうがよい という場合もあります。

参加者層と、登壇者層を見て、最適なツールを選ぶ

いずれにせよ、参加者と登壇者のタイプやイベントの性質を見て、最適なツールを選択することが必要です。

もし参加者や登壇者がこのようなオンラインイベントに不慣れな場合、あまり珍しいツールを使うことなくZoomを使った方が良い場合もありますし、あまりこれらツールに詳しくない方が参加するイベントでは、YouTube Liveなど、視聴しやすい方法でオンラインイベントを開催する という方法もあります。

とにかくまずは、オンラインイベントを開催してみることが大事です。

もちろん、「そんなものよりリアルのイベントを開きたい」という方もいらっしゃるでしょう。ただ、それはオンラインでイベントを開かない理由にはならないと思っています。

もし、オフラインのイベント開催に際し、なんらかのハードルを感じる状況は、まだまだ続くでしょう。開催できたとしても、今までの取り組みとは違った手法を要求されることもあり、今までどおりの楽しいイベントが開催できないこともあるのではないかと思います。

それであれば、今はオンラインのイベントに慣れるべく、試行してもよいのではないか。オンラインで楽しめる領域を広げていくべきではないか と、高見知英は思います。

本稿で紹介したアプリケーション・サービスの紹介