真にみんなで子育てができる場とは

真にみんなで子育てができる場とは

SBCast.では3月前半のエピソードとして、子育てに関するポッドキャスト番組、子育てのラジオ「Teacher Teacher」のパーソナリティであるはるかさんをゲストにお迎えし、活動の内容や思いを伺いました。

子育てのラジオ「Teacher Teacher」は、子育てのリアルな悩みや課題をテーマにしながらどのようにすればより多くの人が子育てに関わり支え合えるのかということを話し合うポッドキャスト番組です。

子育てのラジオ「Teacher Teacher」の配信内容

はるかさんとのお話の中で印象的だったのは、「子育ては親の責任である」という風潮について。

「子育ては街でやっていく」そのような言葉は今までSBCast.でさまざまな地域活動団体をお招きし話をしている中でも出てきた言葉です。

家庭だけでなく地域や社会全体が子育てにかかわる。そんな理想を目指して。

しかし、今の日本社会では子育ての負担が親だけにのしかかり、その結果孤立感を感じる親が増えてしまっている。

そのような状況を目前に、どのようにすれば真に子育てを街でやっていくことができるのか。子育てのラジオ「Teacher Teacher」や、その他様々な試みを展開するはるかさんは考え続けています。

「多くの大人が関わる場」がもたらすもの

はるかさんが行っている活動の一つフリースクールコンコンの事例は、多くの大人が子どもたちの成長を支える場の一つの形を示しているように思います。

フリースクール「コンコン」のようす

このフリースクールコンコンでは、学校という枠にとらわれず、様々な大人が子どもに関わり、子どもたちに学びの機会を提供しています

例えば特定の分野に詳しい専門家や、異なる価値観を持つ人たちが子どもたちに関わる。

子どもたちは多様な価値観や経験を持つおとなたちと触れ合うことで、視野を広げ、様々なことを学び、自分らしい生き方を見つけていくことができる。

社会には様々な考え方や生き方がある。親とは異なる大人との関係性を築くことによって、子どもの中にも様々な想いが生まれて行くものなのではないでしょうか。

また親自身もほかの大人のサポートやアドバイスを受けることによって、精神的な負担が軽減され、より余裕を持って子育てに取り組むことができるのではないでしょうか。

親以外の大人が子育てに関わる機会の少なさ

しかし現状ではこのような場はまだまだ少ない。関われる人も決して多くはない。

親や学校の先生以外の大人と関わる機会、親や学校の先生以外の大人と子どもが関わる機会は非常に限られている。

その結果子どもたちの成長環境も親や親の人脈や能力に大きく左右されてしまう。

子育てに関わるのは親や教師だけ

そのような前提が強い社会では、子どもたちは限られた価値観や環境の中で成長するしかありません

本来であれば地域や社会の様々な大人が関わることで、多様な学びや成長の機会が生まれるはずであったところ、子どもたちの成長の機会は大きく制限されてしまう。

それは子どもを取り巻く様々な脅威から子どもたちを守るために生まれた文化かもしれません。

子どもたちの安全を考えて作られた仕組みによるものかもしれません。

しかしその結果、親以外の大人が子どもと関わる機会がなくなってしまった。

その結果、電車内や公共の場で子どもが泣いたり騒いだりすると厳しい目が親子に注がれる。時には心ない言葉を浴びせられる。

そのような子育てに不寛容な社会が生まれてしまったのではないでしょうか。

みんなで子どもを支えるために

もちろん子どもの安全は最優先に考慮されるべきものです。

不審者による事件や事故が後を絶たない現代において、子どもを安易に他人に預けたり、見守りを委ねたりすることに抵抗があるのは当然のことだと言えます。

しかし過度な警戒心や不安感から、子どもと社会との接点を極端に減らしてしまうことは、子どもの健全な成長にとって好ましいことでしょうか?

子どもにとって重要なのは、多様な価値観に触れ、さまざまな経験をすること。

それは親や先生だけでなく、地域の人やボランティア・異なる世代の人たちと関わることによって達成されるものではないでしょうか。

大切なのは子どもの安全を最大限に配慮した上で、親や先生以外の大人たちがもっと子ども達と関わる機会を増やすことなのではないかと、私高見は思います。

地域の大人が散歩中の子どもに声をかけたり、一緒に遊んだりするだけでも、子どもにとっては社会のつながりを感じる貴重な経験となり得ます。

「みんなで子育てをして行こう」そのような意識を醸成するには、子育て中の親だけでなく、子育てを経験した世代、そしてこれから親になる世代、さらには子どもを持たない人たちも含めて、地域社会全体で子どもたちの成長を見守り支え合える仕組みづくりが必要になると、私高見は思います。

私たちひとりひとりが子ども達と関わる機会を持ち、支え合う社会をめざしていくこと。

それがこれからの子育てにとって大切なことではないのでしょうか。