インターネットサービスとコミュニティ

インターネットサービスとコミュニティ アイキャッチ

先日、Slackというインターネットサービスのプラン変更が発表されました。

具体的には、有料のプロプランを利用している場合、1ユーザーあたりの費用がひと月あたり960 円から 1,050 円となり、無料プランの制限が過去90日までの投稿のみ閲覧可能というかたちに変更されます(以前は直近1万件までの投稿のみ閲覧可能かつ、ファイル保存容量は5GBまでという制約でした)。

このプラン変更は、2022年9月1日に適用されます。このサービスを利用しているコミュニティはこの日付までに対応が必要です。

昨今ではインターネット上でのコミュニティ情報のやりとりも多くなり、Slackをはじめとしたオンラインサービスをコミュニケーションの中核として据えているコミュニティも少なくないかと思います。

インターネットサービスを使うということ

インターネットサービスの多くは、なんらかの形の無料プランを提供しています。なんらかの形でサービスの利用に制限がかかる代わりに無償で利用することができ、その上で有料プランに興味を持ってもらう という形式です。

ただし、無償ベースのコミュニティでは人数あたりいくら というかたちのSlackのようなオンラインサービスを契約するというのは、現実的ではないでしょう。結果的にコミュニティは、無料プランの制限下で、提供されたサービスを使う ということになります。

しかし、その場合でもあくまで自分たちは有償サービスの無料プランを使用している ということを忘れてはいけません。

今回のSlackのプラン変更のように、サービス提供者の都合で、今までの使い方ができなくなるという可能性については、あらかじめ考えておく必要があります。

わたしたちコミュニティ運営者ができること

このようなインターネットサービスを利用するにあたり、コミュニティはどのようにすれば良いのでしょうか?

その方法はいくつかあると思います。

1. 費用を払って有料プランを契約する

完全無償のコミュニティでは難しいことではありますが、有料プランを契約してしまう という方法もあるかもしれません。コミュニティであれば会費というかたちでメンバーに負担をお願いすることになるでしょう。

活動をNPO化し、その上でNPOプランを契約するのも一つの方法です。インターネットサービスを提供する企業の中には、TechSoupなどの機関を通じて、NPO向けに廉価または無償でサービスを提供している場合もあります。これらのサービス利用を検討するのも良いでしょう。

2. 複数サービスを使い、一つのサービスに依存しすぎない体制を作る

複数のサービスを使い、無料プランの範囲内でもある程度自由なコミュニティ運営を実現する方法もあるでしょう。

もちろん、それぞれのサービスを臨機応変に使い分ける知識がコミュニティメンバーに必要になりますが、サービスの画面はある程度決まったルールの下に制作されているものが少なくありません。

IT機器の利用に慣れるという意味でも、複数サービスを使い分けるというのも良いでしょう。

また、その際にはまた無料プランの範囲変更により情報の移行が必要になったときのために、情報のエクスポート(別のサービスでも利用可能なように情報を書き出す処理)ができるサービスを選ぶなど、そのサービスが使えなくなる可能性も考えたサービス選びが必要になります。

3. 自分たちで技術知識を持ち、自分のサーバですべてをまかなえるようにする

やや険しい道のりではありますが、自分たちでしっかりとした技術知識を持ち、自分たちでインターネットサーバーを契約し、自前で必要なサービスを運営する という方法もあるでしょう。

昨今のインターネットサービスの中には、例えばSlackに対するMettermostなどのように、同じような機能を持ったオープンソースソフトウェアが存在する ということも珍しくありません。

それらのアプリケーションを使って、自分たちが使うサービスを作り上げてしまう ということも可能です。

もちろんそのためには、長時間のサービス提供に耐えうる環境構築と定期的な保守作業が必要になりますので、とくに地域などIT技術者が多くないコミュニティでは難しいことではありますが。

Slackの無料プラン変更については、わたしたちはどうすればいいのか

それでは今回、今までSlackを使っていたコミュニティは、どのようにすればよいのでしょうか。

別の同種のサービスに移行する

たとえばDiscordLINEオープンチャットなど、同じように複数人でメッセージのやりとりが出来るサービスに移行する という方法もあります。

もちろん、無料プランを使う以上いずれ思った通りの使い方ができなくなるという可能性も残っていますが、応急の対策としては有効な方法かもしれません。

残しておきたい情報は、別のサービスに退避する

また、コミュニティの規則や使用するサービスに関する情報など、残しておきたい情報は別のサービスに移行する という手もあります。

たとえばHackMDNotionScrapboxなど、無償で文章を保管し、複数人で共有できるサービスは、他にも多く存在します。これらのサービスに常に残しておきたい情報を移し、Slackはその場その場で必要なやりとりのみに絞るという方法もあります。

その際は、ファイルもOneDriveなどのオンラインストレージサービスに移行する必要も出てきます。

最近のオンラインストレージサービスには、複数の利用者で一部のフォルダを共有する機能があります。これらを使えば、コミュニティメンバー間で同じファイルを編集したり、閲覧したりといったことも可能でしょう。

Webサービスを使うコミュニティ運営

Webサービスは、基本的に有償で運営されています。わたしたちコミュニティ運営者はそれらのサービスの無料プランを使っているということは、常におぼえておかなければいけません。

無料プランの範囲内だけでの活動が難しくなったときには、複数のサービスを連携して使うなど、サービスとの関わり方を考え直さなければいけないという場合もあります。

そんなとき、メンバーのうち数人にIT知識がないから体制を変更できないなどとならないよう、ある程度の知識がわたしたち全員に必要となるのではないでしょうか。

Webサービスの使い方を身につける・学ぶ

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